親の介護と相続の問題は無関係だという主張

元気だった親も高齢になってくれば誰もが介護が必要になることは避けられません。知人は4人兄弟の末っ子で、確かにほかの兄弟が言うように末っ子の彼をご両親はとてもかわいがっていました。賢くて成績の良かった彼は希望通りの官公庁への就職もかない、順風満帆に見えたのですが、就職して5年目に彼の父親が病に倒れ、普段の生活の中で日常的に介護が必要な状況になりました。
彼は職場が家から比較的近かったことから通勤時間の負担も軽いので介護にかける時間を確保できたことは幸いでした。昼間は彼の母が、夜は彼が分担して父親の介護をそれは献身的にこなしながら仕事をしてきました。それでも時には残業をする必要もあり、そんな時には母親の負担を考えてヘルパーさんを頼んだりしながら、遠方にいる兄弟には頼めないからと一人で頑張って父親の介護を続ける姿は、はた目にも頭の下がるような思いでいっぱいでした。
そんな介護生活が長く続き、十分に介護を尽くしたのちに彼のお父さんが亡くなる日がやってきました。彼もお母さんも葬儀を終えた後にはどっと疲れが押し寄せ、長年の介護の疲れだけでなく、無事に父親を送ることができた安堵感によって、しばらく母親は寝込んでしまったようでした。ところが父の遺産相続の手続きに入ると、彼の兄たちのうちの一人がとんでもないことを主張してきたようです。介護を彼とお母さんとで頑張って続けてきたことへの感謝どころか、遺産は介護の問題とは別だから4人で均等に父の遺産を分けようという話になったというのです。他の2人のお兄さんはそんな主張をしてきたわけではないらしいのですが、一人だけ相続の権利だけを強く主張する兄弟がおり、彼は心底怒りを感じたようでした。お金のことはともかく、介護の問題は関係ないと一蹴されたことがかれの怒りを買ったようで、私自身もその話を聞いて、あまりにも彼の父親への献身ぶりを評価も感謝もしないことへの理不尽さを感じました。遺産分割協議はいまだにもめているようなのですが、私は当事者ではないけれど、彼が報われる内容になってほしいと心から思っています。